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執筆者の写真saygo

徹底解説!ポートレート撮影〜ライティングの基本〜

更新日:3月22日


Saygohioki 写真家 ポートレートライティング - Image

クオリティ高い広告写真、とりわけ人物などを対象とした広告やポートレートは、街中を見渡すことで多く目にすることができます。実は、それらのクオリティ高い広告写真は正確なライティングによって撮影されています。このライティングの基礎をきちんと理解できれば、クオリティの高い広告写真、とりわけポートレート写真が撮れるようになっていきます。

今回の記事では、広告写真、特に人物を対象としたポートレート写真を撮る際のライティングについて、初学者の方に向けて、ライティングの基本的知識を解説しています。



ライティングとは

実は、ライティングというのは写真撮影において非常に重要な要素です。ライティングが上手くできるかどうかで、写真のクオリティが大きく変わります。


■被写体の魅力を引き出すライティング あなたの部屋を想像してください。部屋を照らしてくれる蛍光灯やLED灯など、照明は多々あるかと思います。その照明の違いで部屋のイメージは変わりますよね。ライティングも同じです。創り操るライティングひとつで、撮影対象となる人物の魅力は変わります。そのため、ライティング(=光)を操ることで、被写体の魅力を十分に引き出すことができます。さらに、撮影の目的や意図を正確に伝えられる広告・ポートレート写真を撮影できるようになります。


■ライティングの重要性

ライティングは非常に重要です。人の印象は顔の表情やメイク、衣装だけでなく、当たる光の状態によっても大きく左右されます。人は見た目が大事、とよく聞きますが、ライティング(=光)をコントロールすることで、人物の印象を思い通りに変えることができます。


■明るく照らすだけではない

ライティングに関して知識がないと「まずは明るい光を当てることが大切」と考えてしまいがちです。しかしこれは間違った知識となります。何も考えられていない光は被写体の立体感を奪い、特徴のない無機質な人物(表情)としてしまいます。全部とは言えませんが、「はっきりした顔の写真を撮る」ために撮影された運転免許証などの証明写真をイメージして頂ければ、理解しやすいかと思います。


■スマホでもこだわりのポートレートは可能

「クオリティの高い写真は一眼レフカメラ」と考えている人もいますが、必ずしもそうとは限りません。ライティングを理解しこだわって撮れば、スマホでも十分に魅力を引き出したポートレートを撮影することは可能です。




必要な機材について

ポートレートのためのライティングに取り組もうとすると、まずは必要な機材を揃えることから始めましょう。最初は、機材って高いと思うことがありますが、自分で機材を購入すれば、モチベーションもアップし、結果としてスキルも上がりやすくなります。


■ストロボ(スピードライト、クリップオンストロボ)

最も重要な機材です。ストロボと聞くと「カメラの上についてるもの」をイメージする人が多いです。ただし、それらは光量が非常に小さく実は、ポートレート向きではありません。ポートレートにおけるライティングには、外付けとなる「スピードライト」や「クリップオンストロボ」と呼ばれるものが必要です。スピードライトを選ぶ際には、ラジオスレーブによって遠隔操作が可能なもの、そしてGN(ガイドナンバー:数字が大きいほど最大光量が増える)が少なくとも40以上のものを選ぶようにしましょう。


■ラジオスレーブ(トランスミッター)

ポートレートでライティングを行う時は、ストロボをカメラから切り離して設置する「オフカメラストロボ」のスタイルがメインとなります。そのスタイルでストロボを操作するために使用するのが「ラジオスレーブ」となります。このラジオスレーブはメーカーによって「トランスミッター」「スピードライトコマンダー」と呼称が異なります。カメラ上部の「アクセサリーシュー」に接続し、対応したストロボを無線で操作します。購入する際に気をつけたい点は下記の2点です。

  • 所有しているストロボに対応しているか

  • 日本の『技適マーク』を取得しているか


■ソフトボックス

ソフトボックスとはライティングの際、ストロボとセットで使用する機材であり、内部に施された特殊な布によって光を和らげさせる(バウンス)働きがあります。ストロボをそのまま被写体に照射すると、光が極端に強いため、硬すぎる雰囲気の写真となってしまいます。このことを防ぐため、ソフトボックスやアンブレラなどの機材を併用して適度な光を作り出します。


■アンブレラ

ソフトボックス同様、強すぎる光を抑え、ライティングに適した状態にするための機材です。名前の通り、傘そのものです。ソフトボックスとの効果の違いは下記の通りとなります。

  • ソフトボックス:直線的でメリハリのあるライティングが特徴

  • アンブレラ:広い範囲を包み込むような柔らかい(優しい)光が得意

どちらの方が良いということではなく、どのような画づくりを行いたいか(写真を撮りたいか)によって、購入する機材を選択するようにしましょう。


■ライトスタンド

ストロボ、ソフトボックス、アンブレラはどれもライトスタンドに装着して使用します。ライトスタンド、ストロボなど照明を立てるための機材です。三脚とは使用用途が違うということを覚えておきましょう。ライトスタンドは軽くて持ち運びやすく、ブラケットやピゴットといったオプション装置を取り付けて、ストロボ、ソフトボックス、アンブレラなどの機材を設置します。重さや組み立てやすさ、持ち運びやすさや強度など種類も豊富にあります。そのため、実際に店舗に見に行くか、レビューなどを参考に選ぶようにしましょう。


■レフ板

自然光や照明を反射させるための機材がレフ板です。レフ板で光を和らげたうえで被写体にあてると、逆光による顔の影などを解消することができます。ただし、レフ板を使用するには撮影中、レフ板を支えてくれる協力者(アシスタント)が必要になります。あくまでもカメラマンのみでポートレート撮影を行う場合、被写体に光が当たるように、他の機材と組み合わせるなどの工夫が必要です。。




ポートレートライティングの基本

ポートレートのクオリティを左右するライティングの基本について解説します。読んで終わりではなく、実際に試してみるとより理解も深まり、成長も感じられるでしょう。


■一灯での撮影

一灯だけ(一つのストロボ)でポートレートを撮影する場合、次のことがとても重要です。

いかに『光』と『影』を作り出すか

ライティングは、光の当たっているところが必然的に目立つようになります。そのため、一灯ライティングの場合、如何にしてモデルのチャームポイントを上手に照らすかが重要です。モデルの長所とライティングがかみ合えば、一灯だけでも魅力溢れる一枚を撮ることができます。


■二灯での撮影

二灯にすることで、表現の幅は大きく広がります。メインの光をもうひとつの光でサポートするようにすると、一灯では作り得ないライティングが可能です。対角線上前後にストロボを設置して立体感のあるシーンを演出したりすることも可能です。オリジナルのライティング表現をいくつも持っておくことはカメラマン/写真家にとって、有効なアピールポイントであり武器にもなります。二灯撮影は積極的に実践するようにしましょう。


■一灯と二灯それぞれのメリット

二灯ライティングの魅力は、バリエーション豊かなライティング効果が得られるということです。しかし、だからと言って二灯ライティングの方が優れているとは限りません。二灯ライティングの場合、複数の機材を持ち歩くことになり利便性の面では重労働となるため、大変です。さらにセッティングにも時間がかかるため、スピーディな撮影には不向きです。

一灯撮影の場合は、手軽さといったメリットがあります。そのため、場所やスケジュールに応じた臨機応援な撮影にはとても向いています。




6つの基本テクニック

ライティングといってもテクニックはかなり多岐に渡ります。そのため、状況に応じた使い分けが求められます。ポートレートの際に取り入れやすい、ライティングテクニックを6つ、紹介します。


■バタフライライティング

バタフライライティングは、人物の正面斜め上から光をあてるライティングです。特徴としては、顔全体にまんべんなく光を当てられるということ。そのため、対象人物が本来持っている顔のチャームポイントをシンプルに引き出せるため、ビジュアル性の高いモデルのポートレートに向いています。


■レンブラントライティング

伝統的でクラシカルなライティングがこのレンブラントライティングです。人物の鼻筋に対し、斜め45度ぐらいの上方から光を当てて、シャドーになる顔半分の頬骨辺りに三角形のハイライトを作るライティングとなります。。特徴はキレのよいコントラストを表現できるということです。そのため、彫りの深い男性や個性的な顔立ちのモデルの撮影に向いています。


■ループライティング

先に書いたレンブラントライティングの位置から光源をやや下に下げる、あるいは被写体から光源を離すことで、鼻周辺にリング状の影ができるライティング。

レンブラントライティングと似ていますが、影や光に柔らかみを持たせ、明暗をはっきりさせながらも比較的ソフトな表現を作り出せることが特徴となります。さらに、キャッチライトも入りやすくなっているため、被写体の明るいイメージを引き出しやすいライティング方法にもなります。


■スプリットライティング

顔の半分に光を当てて、残りの半分を影になっているような状態にするライティングです。少し影のあるアンニュイな雰囲気を作りやすいことから、ミュージシャンやアーティストなどのポートレイトに使われる事が多いです。スプリットライティングのやり方は簡単で、被写体の真横にメインライトの光源を持ってくるだけです。あとは影の部分の濃さの調整で画作りをしていきます。

注意点として、一灯ではどうしても影が濃くなりがちとなるため、補助光による影の緩和も必要となります。


■リムライティング

被写体のほぼ真後ろ、やや下側から光を照射するテクニックが「リムライティング」です。このライティングを行うことによって被写体の周囲に輝くような後光を作り出すことができます。暗い場所はもちろん、夕暮れにおけるリムライティングは神秘性を感じさせたい時の撮影に大いに役立ちます。

ただし、ライティング調整の結果、光の存在が目立ちすぎてしまったり、モデルの表情が見えづらくなったりしてしまうこともあります。そのため、一定期間の練習は必要です。


■クラムシェルライティング

被写体を挟み込むように2台の光源を設置し、カメラアングルをほぼ水平にするライティングがクラムシェルライティング。このライティングは、エステサロンや美容系などの撮影でよく活用するライティング方法です。上下で挟む場合と、左右で挟む場合の2パターンがあります。顔に影ができにくくなり、さらに肌の質感も滑らかに撮影することが可能です。ポートレートの際は、上からの光源と下からの光源とで挟み込んでの撮影が基本となり、上の方のライトを強めにすることがおすすめです。




撮影場所による注意点

ポートレートのクオリティはライティングによって大きく変化します。そして実は、ライティングがモデルの魅力に影響を与えるように、撮影場所もライティングに影響を及ぼします。


■撮影場所によるライティングの違い

ライティングのテクニックは数多く存在すれど、「どの場所でもその方法でOK」といったことではありません。理由は明白で、撮影場所によってライティングの効果も変わるからです。ある場所では狙った通りの効果を出してくれたライティングが、別の場所では全く効果を得られない。返って逆に、悪く作用したということもゼロではありません。


■屋内やスタジオ撮影の場合

屋内撮影と言っても、屋内のレイアウトは様々となります。窓際かどうかでもライティングは変わってきます。周囲に影をつくりやすいものがあるかどうかでも、変わってきます。このように屋内(部屋)ごとに条件が異なるため、しっかりと事前確認を行ってから、撮影に臨むことが必須となります。

とくに気をつけたいことが、モデルの背後や左右にある壁。爽やかさや優しい雰囲気の写真が撮りたくとも、それらの壁に影ができてしまうと狙った雰囲気とはなりません。このようば場合は、壁とモデルの距離を広くとるか、別ストロボで柔らかくするなどの対応が必須となります。


■屋外撮影の場合

屋外、とくに晴天でライティングを行う際、もっとも重要な要素となるのが太陽光、つまり、自然光です。実は自然光というのは非常に強いため、加減や照射角度をしっかりと計算したライティングが必要となります。しかし、「自然光」とも言われるだけあって太陽光はストロボに比べて非常にナチュラルでもあります。ポートレートを撮影するにあたってこれを利用しない手はありません。屋外でのライティングでは、自然光/太陽光をキーライト、ストロボを補助光とした構図を組み立てるスタイルがベストになります。



まとめ

今回、ライティング、とりわけポートレート撮影する時のライティングについて徹底的に、そして簡潔に解説しました。これからポートレート(人物)撮影を始められる方の参考になれば、とても嬉しく感じます。

ライティングにも様々なアプローチがあるため、当記事を参考に挑戦してもらえればと思います。さらに、ライティングのスキルを上げたい場合は、屋外よりも屋内撮影の方が上げやすいことを覚えてもらえると良いです。


今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございます!



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